GLP1注射「ウゴービ」とは
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Wegovy®は、有効成分セマグルチドを含む週1回の注射剤です。
低カロリー食と運動量の増加と併用して使用する処方薬で、
以下のような対象に用いられます:
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肥満(BMI≧30)または過体重(BMI≧27)で体重関連疾患
(高血圧、高コレステロールなど)がある成人
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既知の心血管疾患があり、肥満または過体重を伴う
成人の心血管系リスク(心筋梗塞・脳卒中など)の軽減
他のセマグルチド製品(例:オゼンピック)やGLP-1受容体作動薬との併用は避けてください。
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有効成分:セマグルチド(Semaglutide)
有効成分としてセマグルチドを含むGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬です。主に肥満治療を目的として用いられています。
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作用メカニズム
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食欲抑制
満腹感が高まり、空腹感が抑えられるため、自然と食事量が減少します。また、高脂肪食や甘いものへの欲求も低減させると考えられています。
蠕動運動抑制
胃内容物の排出を遅らせることで、満腹感を持続させます。これにより少量の食事でも満腹感が得られ、摂取カロリーの抑制につながります。
インスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制
血糖値のコントロールにも寄与します。なお、この作用は血糖値依存的に発現するため、低血糖のリスクは比較的低いとされています。
代謝促進の可能性
白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変化させ、基礎代謝の向上や脂肪燃焼の促進にも寄与する可能性が示唆されています。
基礎代謝亢進の可能性もありますが、ヒトでの確定的なエビデンスは限定的です。
結果、体重の減少・太りにくい体質へ
臨床試験で確認された効果
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体重減少効果
日本人を含む東アジア人対象の臨床試験(STEP6 試験)では、
治療開始から 68 週後の体 重減少率は以下の通りです。
● 2.4mg/週 投与群:平均 13.2% 減量
● 1.7mg/週 投与群:平均 9.6% 減量
● プラセボ群:平均 2.1% 減量
例えば、体重 100kg なら約 13kg 減が期待できます。
5%以上の体重減少を達成した割合
● 2.4mg/週 投与群:平均 83%(160/193名)
● 1.7mg/週 投与群:平均 72%(71/98名)
● プラセボ群:平均 21%(21/100名)
オッズ比(2.4mg vs プラセボ):21.7(95%信頼区間:11.3~41.9、p<0.0001)
血糖値への効果
ウゴービは血糖値のコントロールにも有効です。
●HbA1c:約 0.9〜1.0% 低下
●空腹時血糖:18〜19mg/dL 低下
食欲抑制、満腹感の持続、基礎代謝の向上などにより、無理のない減量をサポートしま す。
STEP 6試験の概要
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試験デザイン:無作為化、二重盲検、プラセボ対照、68週間の第3相臨床試験
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対象者:日本および韓国の成人401名(平均年齢51歳、平均体重87.5kg、平均BMI 31.9)
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参加条件:
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BMIが27.0以上で体重関連の併存疾患を2つ以上有する、または
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BMIが35.0以上で体重関連の併存疾患を1つ以上有する
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過去に減量を試みたが成功しなかった経験がある
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投与群:
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セマグルチド2.4mg群(週1回皮下注射):199名
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セマグルチド1.7mg群(週1回皮下注射):101名
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プラセボ群:101名
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併用療法:全参加者に対して、カロリー制限食と身体活動の増加に関する指導が行われました。
投薬に関して
ウゴービは使い捨て注射器に 0.25mg から 2.4mg まで 5 段階の用量が用意されて おり、1 回使い切りタイプです。
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増量のタイミング

上記のルールで投与量の調整をしてください。
少食が続くようなら、無理に4週間ごとに増量せずともかまいません。
※食欲が抑えられたと感じた量で継続して下さい。必ずしも最大量2.4mgまで増量し なくてもかまいません。
悪心を感じたら、減量もしくは、その時の量で継続して下さい。無理に増量しないでください。
ウゴービの副作用
副作用が多いのは初期だけ
副作用は軽度ですが、時間とともに軽減します。容量依存性がありますので、少量から開始して、経過を見ながら増量していけば、生活の質を障害するものではありません。
副作用で多いのは胃腸障害
胃排出速度を遅らせるので、主に吐き気や胸やけ感が認められます。便秘・下痢・嘔吐に至る例は少数でした。
海外で承認された時に、頻度2%以上だった副作⽤⼀覧は以下の通りです。

特に投与初期や用量増加時に頻度が高く、用量漸増スケジュールは
この副作用軽減の ために設けられています。
他の GLP1 関連製剤との違い
肥満治療のための注射薬はさまざまありますが、それぞれの作用の仕組みや効果には違いがあります。

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適応について
ウゴービは「肥満症」の治療を目的として承認されており、同じセマグルチドを有 効成分とするオゼンピックは「2 型糖尿病」治療薬として承認されています。リラ グルチド製剤も、サクセンダは肥満症、ビクトーザは糖尿病と適応が異なります。
最大投与量の違い
ウゴービは肥満症治療のため、最大 2.4mg/週という高用量で投与します。一方、 オゼンピックは最大 1.0mg/週までです。この用量差が体重減少効果の違いにもつ ながっています。
体重減少効果の違い
ウゴービは高用量投与のため、体重減少効果が非常に高く、平均で体重の約 13% 減少が報告されています。オゼンピックは主に糖尿病治療のための用量で、体重減 少効果は 4〜6%程度です。リラグルチド(サクセンダ)は 1 日投与で 6〜8%程度の減量効果があります。
投与方法・用量設定の違い
ウゴービは使い捨て注射器に 0.25mg から 2.4mg まで 5 段階の用量が用意されて おり、1 回使い切りタイプです。オゼンピックは 1 本のペン型注射器で任意の量を 調整して複数回使用できます。
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どの薬も、食事や生活習慣の改善と組み合わせて使うことで、より効果的に体重を減らすことができます。体重減少の目標、血糖コントロールの必要性、副作用の耐性、投与頻度の好みなど自分に合った治療を選ぶためには、医師と相談しながら進めることが大切です。
用語の違い
• セマグルチド(semaglutide)
これは「成分名(一般名)」です。GLP-1 受容体作動薬という薬剤クラスに属し、
インスリン分泌促進や食欲抑制などの作用を持つ薬の有効成分です。
• ウゴービ(Wegovy)
これは「商品名(製品名)」です。セマグルチドを有効成分とした肥満症治療薬 で、特定の適応症(肥満症)と用量設定で販売されています。
• ウゴービ(Wegovy)の最大投与量は、週 1 回 2.4mg です。
投与は 0.25mg から 開始し、4 週間ごとに 0.5mg、1.0mg、1.7mg と段階的に増量し、最終的に 2.4mg/ 週まで増やします。この最大投与量は、同じ成分を含む糖尿病治療薬オゼンピック(最大 1.0mg/週)よりも高く設定されています。